AMH検査は抗ミューラー管ホルモン(AMH)の量を測る検査です。「卵巣年齢がわかる検査」として知られていますが、半分正しく半分正しくないので詳しく説明していきます。
AMH検査で体外受精の成功率がわかる
そもそも女性の卵子は生まれたときから減り続け、新たに作られることはありません。そして年齢を重ねるとともに50歳になるとほとんどなくなります。
卵子を取り巻く卵胞は、原始卵胞→ 一次卵胞→ 二次卵胞と成長していくのですが、AMHは原始卵胞から一次卵胞に成長していく際に、成熟が進みすぎるのを抑制していると考えられています。
amhの数値に関する考え方
AMHの数値が高ければ、卵巣ではたくさんの卵胞が目覚めていて、卵胞がたくさん残っている。逆にAMHの数値が低いと、卵巣で目覚める卵胞の数が少なく、残りの卵胞も少なくなっているという考え方です。(参考)卵子の数は生まれた時に決まる
卵胞の数と妊娠力に関する過去の誤解
一昔前までは卵胞の数が多いほど妊娠しやすいと考えられていましたが、自然妊娠においてAMHの数値と妊娠率に相関がないことが分かっています。
というのも、自然妊娠においては排卵時に1つの卵胞しか出てこないので、数が多いことは重要ではなく卵子の卵胞の質が重要になってくるからです。
採卵数と体外受精の成功率には正の相関がある
AMHの数値は自然妊娠の参考にはなりませんが、体外受精の成功率を考える上ではとても重要な指標になります。というのも、AMH検査の値が高い人は排卵誘発剤を使うと、たくさんの卵胞が成長するので、採卵すると20~30個もの卵子が採れます。
AMHの数値の低い場合
これに対しAMH検査の値が低い人は数個しか採れません。多くの卵子が採れれば、受精できる高い質の良い卵子が含まれている可能性もあがるので、結果的に体外受精の成功率が上がります。体外受精も視野に入れている場合は、ぜひ受けて欲しい検査です。
AMH検査の数値は個人差が大きい
AMH検査の数値が人によって個人差が極めて大きいことがわかってきました。それによって、これまでの不妊治療に対する考え方が大きく変わっています。
これまでの不妊治療に対する考え方
これまでの不妊治療は「ステップアップ法」という身体にも金銭的にも負担の少ない方法から徐々に高度な治療に移行していくという考え方がベースになっていました。
事例をあげると。タイミング法5回→人工授精4回→体外受精。というような具合です。20代は2年かけて人工授精まで行う、35歳までは1年、35歳以上は半年といった具合です。
しかし、AMH検査が示すのは人によって卵子が無くなるスピードに大きな個人差があるということです。35歳で卵子が底をつきそうなひとが、悠長に1年間も自然妊娠を待っていると妊娠の機会を逃してしまうということです。
AMH検査でわかる年齢ではないタイムリミット
(浅田レディースクリニックの画像 https://goo.gl/hPhmCc)
こちらの図は、横軸に年齢,縦軸にAMH検査の数値を取り、浅田レディースクリニックの患者の検査結果を点でプロットしたものになります。
40代のAMH数値
40代後半で、全員が2ng/mlを下回り、50歳になると限りなく0に近くなります。2ng/ml以下だと残された時間は少なく、1ng/ml以下だと早発閉経といって閉経が近くなっています。
20代のAMH数値
これを読み解くと、20代でも後半になると1~2割の人が2ng/mlを下回っており、そのうち半数が1ng/ml以下です。40代になると半数以上が2ng/mlを下回ります。
30代のAMH数値
一番厄介なのは30代で、どの列を見てもとても広く分布しています。つまり、30代でも20代なみの卵子数を保っている人もいれば、ほとんど猶予が残されていない人もいます。
AMH検査の費用は?
ちなみに、保険適用外で費用は5000円~1万円程度です。加えて診察料がかかる語りになります。病院によっては取り扱っていないところもあるので事前に確認が必要です。
不妊治療をしている場合は、半年に1回程度受けていただくことがいいとお思います。年間で2万もかからないので、あなたの卵子の状態を知り、不妊治療を円滑にすすめることができるので、費用としては高くないかもしれません。
AMHの数値を改善するには?
AMHの数値を改善することは難しいでしょう。卵子の数をふやすことができないためです。しかし、妊活を進めていくにあたって卵子の質を下げることは、妊娠から遠ざかります。
そこで、卵子の質が下がらないように生活習慣を変えていったり、食生活を変えていくことは効果的でしょう。
過度なダイエットは厳禁!
過度なダイエットをすることで体脂肪率を下げると、卵子の数も比例して現象するとの結果がでていますので、過度なダイエットは控えましょう。
20代後半になったら自分に残された猶予を知るために、一度はAMH検査を受けてみてください。