体外受精とは?

体外受精(IVF)とは妊婦の卵巣から卵子を取り出して、女性の体外で精子と受精させ、妊婦の子宮に戻し妊娠させる治療のことです。

体外受精は、自然妊娠ができなかったり、卵子の機能が低下して妊娠しても流産してしまう等、基本的には37歳以降に積極的にとりくむ不妊治療になります。諸外国では35歳が目安となっております。

昨今では日本での認知度も高り、現在日本では年間に5万人の体外受精ベイビーが生まれています。今回は体外受精にの費用や、流れ、採卵の痛み、双子が生まれる可能性や、実際の体験談、スケジュール、リスクまで全体像をお伝えしていきます。

体外受精とは?

体外受精とは、子宮内から取り出した卵子を体外で受精させ、その受精卵を培養した後に子宮に戻す治療方法です。

体外受精は、自由診療の保険適応外のため、治療の始まりから終わりまで、保険が一切ききません。体外受精といっても、冷凍した受精卵を戻す凍結胚移植や、受精してそのまま卵巣に受精卵を戻す新鮮胚移植がありますが、凍結胚移植が主流となっています。

なぜなら凍結胚移植においては子宮が妊娠しやすい状況になってから戻すことができるため妊娠確率をあげることができるのです。加えて着床前診断で質のいい受精卵を活用することができるからです。(※着床前診断は基本的に海外のみ)

体外受精・胚移植(IVF-ET)

受精後2〜3日ほど体外で培養したのち子宮に戻すことを「初期胚移植」と呼び、体外受精・胚移植(IVF-ET)(ET=Embryo Transfer)ともいわれます

体外受精・胚盤胞移植(IVF-BT)

さらに、受精後5〜6日程度培養して胚盤胞の状態まで受精卵を成長させてから戻す方法を「胚盤胞移植」といい、体外受精・胚盤胞移植(IVF-BT)(BT=Blastocyst Transfer)とも呼ばれます。

自然妊娠でも、受精卵は子宮内膜に到達するまでに7〜10日ほどかけて、成長しながら卵管を通っていきますが、胚盤胞移植の方がより着床率が高いとされます。

凍結胚移植(FET)

現在一番主流となっている体外受精の方法です。受精卵についても、培養したのちそのまま子宮に戻す方法以外に、一時的に受精卵を凍結させ、ホルモン補充などで母体の子宮内膜を整えてから子宮に受精卵を戻す、という方法もあります。この方法は凍結胚移植(FET=Frozen Egg Transfer)と呼ばれ、最近では凍結胚移植によって出産に至った女性が増えています。

体外受精の痛みはあるの?

2017.08.23

体外受精での成功率は?

日本では42万4151件の体外受精が実施され、5万1001人が体外受精で生まれています。新生児は105万人が毎年うまれていますが、すでに新生児の約5%が体外受精で生まれているのです。20人〜30人クラスだとしたら、クラスに1人はいる計算です。(※2015年データ)

タイミング法や人工授精、体外受精、顕微受精などの不妊治療を受けている人になるとさらに数は増えて行くので、大概受精をはじめとする不妊治療が日本でも受け入れられてきているのが数値からもみてわかるでしょう。

体外受精からの出生数は?

日本産科婦人科学会によると、2013年に日本国内の医療機関で行われた体外受精(IVF)の治療回数は89,950回、出生数は4,776人になります。しかし最新データでは、治療回数は42万件に増加すごい勢いで普及している高度不妊治療技術です。

年間の全出生数で見れば現在の小学校のクラスの1人は体外受精で生まれる計算になります。ただ、今の30代の人たちが子供のころは不妊治療が一般的でなかったため想像しずらいかもしれません。近年、体外受精で生まれる子供の数は年々増えており、子供を産むための手段としても広くしれわたっています。

体外受精の成功率は?

30歳以上で2割。35歳以上で2割、40歳で1割。42歳で0.5割になります。実際に42歳を超えてからの成功確率はほぼないため、助成金の対象からも外れてしまっています。

体外受精の成功率とは?年齢や回数で変わる?

2017.08.25

体外受精を受けるには?

体外受精は誰でも受けられるというわけではなく、人工授精でも妊娠が難しく、「これ以外の医療行為によっては妊娠の見込みがないと判断される」場合が対象となります。特に産み分けを希望されるかたもいますが、男女の産み分けは基本的に倫理的にNGとされています。

また、女性だけに問題があるわけでなく、半分の原因は男性にも問題あります。あるいは両方に卵子や精子の機能的な障害がある場合も、体外受精が認められます。機能的な障害としては、以下のようなものがあります。

女性側の障害

卵管が閉塞している
● 子宮内膜症で卵子を卵管に運ぶ機能が損傷している
● 高齢で卵子の老化が進み妊娠の可能性が低い
● 抗精子抗体があり精子を受けつけない

男性側の障害

乏精子症や精子無力症で精子が機能しない

体外受精のスケジュールや流れは?

体外受精の流れは、大きく7つのステップに分かれます。生理の数日後からスタートし、「排卵→採卵→精子採取→受精→胚の育成→胚移植→着床→妊娠判定」という流れで進みます。スケジュールは状況によって多少ずれが生じますが、上記の流れで進んでいきます。

体外受精をするにあたっても採卵方法においても、ショート法やアンタゴニスト法、移植方法では新鮮胚移植や冷凍胚移植があるように治療に個人差はできますので、様々な種類があるということを理解しながら全体的な流れを見ていきましょう。

ステップ1: 薬をつかって卵を育て、排卵準備を行う

排卵誘発剤の卵巣を刺激、複数の卵子を育てます。方法は点鼻薬を使うロング法とショート法、排卵を注射で抑えるGnRHアンタゴニスト法など。2週間ほど注射をする必要があります。

注射や、点鼻薬の量によって費用は変わります。だいたい費用は3-7万円くらいです

加えて注射は自己で行うこともできます、費用は病院で行うより3割ほどたかいですが、病院から離れた場所に住んでいる場合、交通費や宿泊代を考えると費用が高くなるので、自己注射を選択する方もいます。

ステップ2:排卵誘発剤を活用して採卵する

成熟した卵胞を、膣から挿入した採卵針をつかって吸引します。全身麻酔で行うことが一般的で、手術後は1時間ほど病院で寝てから帰宅することが多いです。

ステップ3: 卵子と精子を受精させる

マスターベーションで採取して洗浄処理した精子と、採卵した卵子を、胚培養士が容器で受精させます。環境を整えたインキュベーターの中で自然に受精するのをまちます。この成功確率は培養士によってかなり差が出るポイントになります。培養士の中でも給与が300万-2000万と幅広くあり、実力に格差があるような状態です。

顕微受精の場合は、費用が増えます。1個の精子を卵子に注入して受精させます。体外受精でも妊娠できなかったり、精子が極端に少ない場合に利用することが多いです。費用は5万円程度からと比較的お手軽になります。

ステップ4: 受精した胚を育てる

受精した胚は2日目には4分割、3日目には8分割と、分割を重ねていきます。3日目に子宮に戻すまで、温度などを管理した培養器の中で培養を続けます。

胚盤胞もまで長期培養することもあります。5日目に胚盤胞になってから、移植することもできます。専門の培養液を利用するため、追加料金で5万以上費用がかかってきます。

ちなみに胚が複数個そだった場合は、冷凍保存で次周期行こうのためにとっておくこともできます。費用は追加で5万ほどかかってきます。

ステップ5: 胚を子宮に戻す

膣から子宮にカテーテルを挿入し、胚を子宮に戻します。数は原則1個。凍結胚を融解して戻す場合もあります。昔は2ついれて双子が生まれてくるケースもありました。

受精卵の孵化を促すために、AHA(アシステッドハッチング)を利用することができます。受精卵の表面の透明帯に穴をあけたり、薄くして受精卵の孵化を促します。追加で4万円程度の費用がかかります。

ステップ6: 着床を助けるホルモンを補充

胚が着床しやすいように黄体ホルモン剤を投与。注射、飲み薬、膣座薬などがあり、注射は通院が必要。投与量や期間はさまざまです。

黄体ホルモンの薬は、注射(500円程度)、飲み薬(1周期あたり1500円程度)、膣座薬(1錠300円)、さらにホルモン検査を行うと費用は状況によってもう少しかかります。

体外受精の膣座薬の役割とは?

2017.08.30

ステップ7: 妊娠判定

胚移植から7〜10日後尿検査(約500円~)や稀有的検査(約1000円~)で妊娠の産むを検査。妊娠していた場合、黄体ホルモンを補充(1万円×3回)

体外受精の年齢別妊娠確率は?

体外受精で妊娠に成功する確率は、30歳、35歳、39歳と節目の年齢によって気になる方も多いようです。実際に大事なのは卵子の年齢です。いつ冷凍保存した卵子かが重要になります。

一般的には、約20~40%となっています。この確率は病院やクリニックによっても異なります。30歳と40歳では2倍ほど妊娠率に違いがみれるのも描きの統計からわかることでしょう。

以下は厚生労働省が2013年に発表している年齢別の出生率になります。

  • 20歳:36%
  • 25歳:38%
  • 30歳:39%
  • 35歳:36%
  • 40歳:24%
  • 45歳:2.4%

出産率になるとさらに低くなります。出産率は、以下の通りです。40代を超えてくると体外受精を行なっても妊婦への負担は大きいため、流産してしまう確率も高くなっています。

  • 20歳:13%
  • 25歳:18%
  • 30歳:19%
  • 35歳:17%
  • 40歳:8.3%
  • 45歳:0.8%

体外受精による妊娠率や受精率をホームページで公表している病院もあるので、相談に行く前に確認しておきましょう。(※はらメディカルを参照!)

体外受精の成功率とは?年齢や回数で変わる?

2017.08.25

体外受精は胚移植の方法で確率が違う?

体外受精の多くは初期胚移植と胚盤胞移植ですが、大きく4つの方法があります。

  • 受精から2~3日後の分割期胚移植
  • 受精から5~6日後の胚盤胞移植
  • 分割期胚移植と胚盤胞移植の2つ以上の受精卵での二段階移植
  • 受精卵の培養液と胚盤胞のSEET移植(シート移植)

この中でも、3の2段階移植と、4のSEET移植が妊娠確率が高いと一般的に言われていますが、個人の状況によって状況変わるので一概に言うことはできません。あなたの状況にあった方法を取ることが妊娠への近道になります。

上記の方法では妊娠率が高くなると言われていますが、リスクも発生します。二段階移植には多胎妊娠のリスクがあり、また、SEET移植は有効的でないといっている病院もあるので、希望する際には事前に治療法について相談しておきましょう。

体外受精(IVF)にかかる費用は?

先述の通り体外受精は、一切保険が適用されません。投薬、検査等、設備費、受精卵の管理等、全て実費支払いとなります。費用はクリニックがそれぞれ独自に決めています。一般的にいわれているのは30万〜80万と言われることが多いです。しかし1回で終わる患者はすくないので回数がかさみ150万〜350万くらい費用がかかります。

不妊の原因や、流れでもお伝えした通り利用方法の選択は様々であり、個人の状況によって大きく差がでてきます。クリニックが提示する金額はあくまで目安なので、サードオピニオンをもらって適正な金額を知ることが重要です。

体外受精の費用は?

2017.09.04

体外受精の体験談(38歳 神奈川)

治療費を捻出のためフルタイムで働きながら、派遣のバイトを週2で行費用をためました。子育て中は、国からの助成金と親からの援助でなんとかやりくりをしています。

  • 体外受精(採卵〜胚移植):350,000円
  • アシステッドハンチング:15,000円
  • 胚盤胞培養:20,000円
  • その他:80,000円
  • 胚凍結: 30,000円
  • 総計: 495,000円

(ペンネーム:あきえさん)

41歳の体外受精の妊娠確率は?

2017.08.18

体外受精の体験談(33歳 福岡)

多嚢胞性卵巣症候群で28歳から治療を開始、タイミング法、人工授精、体外受精を3回行い、現在も治療を続けています。ゆきさんは、胚盤胞まで培養してから移植する方法をとっています。

  • 体外受精(採卵〜胚移植):300,000円
  • 胚盤胞培養:100,000円
  • その他:80,000円
  • 胚移植: 110,000円
  • 注射: 40,000円
  • 総計:630,000円

(ペンネーム:ゆきさん)

40歳、体外受精で妊娠できるの?

2017.08.15

体外受精の体験談(27歳 北海道)

顕微受精にステップアップするさいに、フルタイムの勤務から時短での働き方に変更で治療をすすました。1回目は子宮外妊娠をしてしまい断念。2回目では受精卵を凍結し、それを融解して戻す、凍結胚移植を実施。

  • スプレキュア:20,000円
  • HMG:15,000円
  • 診察:60,000円
  • 採卵・培養・凍結: 200,000円
  • 胚移植: 100,000円
  • ピル: 20,000円
  • 総計:415,000円

(ペンネーム さとこさん)

34歳からの体外受精で妊娠

2017.08.23
費用は上記の事例にも見られるように様々です。あなたの状況にあったクリニックを選ぶことが重要です。制限はありますが、助成金も自治体によって様々ありますので、一度あなたの住んでいる市区町村で調べてみてはいかがでしょうか。相談もしたのラインからのっています!

体外受精で双子が生まれる?

体外受精では双子が生まれやすいといわれます。なぜなら子宮にいくつかの受精卵を戻した方が妊娠確率があがるため複数の受精卵を戻すことが多かったからです。しかしながら現在は35歳以上の体外受精で2回以上失敗した場合に許されているため以前よりもその確率は少なくなっています。

実際に双子が生まれる確率は通常妊娠で1%に対して、体外受精では3%の結果でうまれています。

体外受精(IVF)のリスクは?

体外受精は、人工授精からステップアップした不妊治療ともいわれています。体外受精は、人工授精と比べて受精の確率が高くなる分、妊娠する確率が高くなります。気になるリスク面ですが、障害のある子供が生まれる確率は、自然妊娠の場合とほとんど変わらないといわれています。

特に相談されることが多いのが下記のリスクについてです。

  • 前置胎盤のリスク
  • 自閉症のリスク
  • ガンのリスク
  • 卵巣癌のリスク
  • 障害児が生まれてくるリスク
  • 母体へのリスク

詳細は下記リンクを参考にください。不妊に悩む方にとって体外受精は、子供を授かるために重要なものです。不妊の苦労は、きっと「妊娠・出産の喜び」となって返ってきます。

体外受精のリスクとは?

2017.08.27

体外受精の最後に

不妊治療は完全なオーダーメイド治療になります。なのであなたが納得できるまでお医者さんに説明を求めましょう。あなたの人生のとって大きな選択になりますので、金額だけでなく、実績もふまえて総合的に判断することをおすすめします!

卵子提供とは?

2017.05.20

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。