特別養子縁組と普通養子縁組の違いとは?

日本には、特別養子縁組と普通養子縁組の2種類の制度があります。この2つの養子縁組はどのように違うのでしょうか。近年、子供を授かることができなかった夫婦が、特別養子縁組の制度を利用して、養親になり新しい家庭を築く夫婦が増えています。

そこで、今回は特別養子縁組と、普通養子縁組の違いについて、詳しくご紹介します。

普通養子縁組とは

もともと日本には、昔から養子縁組という制度はありました。この制度のおかげで、実の親子関係のない人を養子に迎えることで、親子関係または親族関係を結ぶことが可能になりました。昔から、家業、財産、苗字、お墓などの先祖代々のモノを維持するために、子供がいない夫婦がどうしても跡継ぎが欲しいということから、昔から利用されていたのです。

しかし、この養子縁組という制度は、養子縁組を結ぶことにより、新しく親子関係ができますが、養子になったからといって、産みの親と法律的な親子関係がなくなることはありません。そのため、養子には養親と実親の2人の親がいることになり、当然、扶養義務や相続関係も2重になります。

1987年(昭和62年)に、民放改正によって、特別養子縁組の制度が導入されました。この特別養子縁組というのは、上記の普通養子縁組とは異なり、実子ではない乳児や子供を法律的に、親子関係を戸籍上で登録することが出来ます。

つまり血縁関係のない乳児や子供を特別養子縁組の制度を利用することで、養親の実子として育てることが出来るのです。産みの親であるお母さんは、親であることには間違いないのですが、法律上、親子関係はなくなってしまうため、相続や扶養などの関係もなくなります。

普通養子縁組とは、特別養子縁組と区別をするために設けられた新しい呼び名なのです。

特別養子縁組と普通養子縁組との制度の違い

特別養子縁組と普通養子縁組の大きな違いは、産みの親と法律上親子関係があるか否かです。普通養子縁組は、法律上では、産みの親も養親も親になるため、2人の親がいることになりますが、特別養子縁組は、産みの親とは、血縁関係はあっても、戸籍上は他人になってしまいます。そのため、養子への扶養や相続などは、産みの親からは一切発生しません。

また、特別養子縁組は、子供を実子として育てたい夫婦からの要望と子供の福祉という観点から作られた制度です。養親が、血縁関係が全くない、赤の他人に子供を育てるわけですから、当然、手続きするための条件はかなり厳しいものです。

特別養子縁組と普通養子縁組との条件

特別養子縁組と普通養子縁組には、条件が異なります。なぜなら、この養子縁組の趣旨が全く違うものだからです。

普通養子縁組は、家制度のために(跡継ぎを残すために)養子をとることであるのに対し、特別養子縁組は、子供を保護するため、つまり児童福祉のものなのです。大きな違いは縁組の要件、養子の年齢、縁組の手続き、離縁、縁組による血族関係との関係、戸籍への記載、相続などです。

普通養子縁組の条件

普通養子縁組の条件について、1つずつ見ていきましょう。

縁組の要件

里親は、成人していれば独身でもOKです。養親の父母の同意は必要ありませんが、養子の親権者の同意が必要です。

養子の年齢

養子の年齢制限はありません。

縁組の手続き

契約により成立します。つまり、児童相談所の施設の人や実親の合意のもと行われます。

離縁

当事者の合意によって、いつでも可能です。養親または養子から申し立てることが出来ます。

血族関係との関係

実の親との血族関係は存続するため、養子には、2人の親ができることことなります。
つまり、実の親との親子関係はなくなりません。
そのため、養子になった人は、両方の親の法定相続人ということになりえます。
法定相続人とは、亡くなった両親からの遺産を受け取る人のことを言います。
最近では、節税のために、あえて養子をとり、法定相続人にさせる場合があります。

戸籍への記載

養子・養女となります。戸籍に、養子縁組をしたことが掲載されます。

特別養子縁組の条件

普通養子縁組の条件について、1つずつ見ていきましょう。

縁組の要件

養親は配偶者がいること。単独では無理です。また夫婦のどちらかが25歳以上でなければいけません。
養親の父母の同意が必ず必要です。
養子の実の親が、出産後さまざまな事情により養育が困難な場合や、子供の監護不適当で
ある場合、民間団体などの斡旋業者を通じて、養子を迎えることが出来ます。

養子の年齢

養子の年齢は、原則、家庭裁判所に申し立てをするときに、6歳未満である必要があります。
特別養子縁組は、養子となる子供が、養親との関係を実の親子と同等な関係を築き、幸せな家庭生活を築くことを目指しているため、親子関係の形成がとても重要である乳児時期のうちに、特別養子縁組を成立させることが望ましいと考えられています。
そのため、6歳未満の子供しか、縁組を家庭裁判所に申し立てをすることが出来ません。

縁組の手続き

各自治体や、民間団体によって多少異なりますが、養子縁組を行う前に、自治体や民間団体の斡旋業者から説明会や研修を受けることになります。この期間は、各自治体や斡旋業者によって異なります。
研修後、6ヶ月間の試験養育期間と家庭裁判所による審判が必要です。

離縁

原則養親からの離縁はできません。しかし、子供に虐待など福祉を害するときのみ、養子や養親の父母、検察官が申し立てすることができます。

血族関係との関係

産みの親であることは間違いないのですが、特別牡牛縁組をした時点で、実の親子関係は消滅します。
特別養子縁組をした養親の戸籍に新たに入るためです。

戸籍への記載

養子になった日付が掲載されますが、養子なった事実は掲載されません。

特別養子縁組と普通養子縁組の目的の違いとは

特別養子縁組と普通養子縁組の目的は、大きく違います。そもそも養子縁組とは、血縁関係のない夫婦と子供を、法的な親子関係を築くことができる制度です。

普通養子縁組は、「家」の後継や存続を残すために、昔から行われてきた制度でした。明治31年(1898年)に成立した法律でもあります。

一方、特別養子縁組は、子供の福祉のためにできた養子縁組の制度です。設立は昭和63年(1988年)で比較的新しい制度でもあります。
一番の目的は、「家庭に恵まれない子に暖かな家庭を与え、健全な育成が図れるようにする」ということです。

さまざまな事情により、中絶を検討している女性や、出産後、赤ちゃんを育てることが出来ない母親から、子供を望んでも授かれなかった親に乳児を託し、新たな家庭を築かせるために、民間団体の斡旋業者がお手伝いします。または、実の親から虐待などを受け、児童相談所や施設などで暮らしている6歳未満の子供を引き取り、実の子供として育てるということもあります。

つまり、特別養子縁組の目的とは、子供の福祉を守り、利益を図るために作られた制度なのです。

特別養子縁組と普通養子縁組の相続の違い

相続

特別養子縁組は、法律上、実の親子関係を断絶させるため、実の親からの相続権は消滅します。一方、普通養子縁組は、縁組成立後も、実の親子関係は継続しているため、実の親子から、養親からの両方から相続権を持つことができます。

特別養子縁組以外の選択肢

子供を持てなかった親が、養子縁組の制度を利用せずに、親になれる別の選択肢があります。それは里親制度です。里親制度とは、さまざまな事情で親と暮らせない子供たちを、別の家庭環境の下で一時的に養育する制度です。

里親には、里親手当や養育費が自治体から支給されます。
家庭での生活を通じて、子供が成長する上で特定の大人からの愛着関係の中で養育を行うことにより、子供の健全な育成を図ることができます。
法律上、親子関係は全くありませんが、子供にたっぷり愛情を注ぐことができます。

まとめ

いかがでしたか?特別養子縁組と普通養子縁組は、同じ養子縁組でも、大きな違いがあることが分かりました。
しかし、どちらも親として子供を育てることに変わりはありません。縁組をした子供と、どういう生活を送りたいのか、しっかりとビジョンを描き、それを実現するために、努力していなければいけません。

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。