特別養子縁組とは?

特別養子縁組をご存知ですか?最近は、さまざまな理由で特別養子縁組の制度を利用し、親子関係を築いている人たちがいます。養子縁組には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。そこで、今回は、特別養子縁組は一体どういうものなのかご説明しましょう。

特別養子縁組とは

特別養子縁組とは、児童福祉のための養子縁組の制度です。里親と養子関係を重視するために、血のつながっていない夫婦と子どもの間に、法的な親子関係を法律上で築くことができます。また、特別養子縁組は、子供が生涯に渡り、安定した家庭で愛情に満ち溢れた環境で育つことができる制度でもあります。

この特別養子縁組の制度は、昭和62年度に導入された比較的新しい制度でもあります。この特別養子縁組の制度を利用することにより、法律上での親子関係はなくなってしまいます。

産みの親であるお母さんとは親であることは間違いないのですが、法律上、親子関係はなくなってしまうため、相続や扶養などの関係もなくなります。つまり親子関係が法律上抹消してしまうということになります。

なぜ特別養子縁組をするのでしょうか?

この特別養子縁組という制度は、養子にする子供を夫婦の実の子供と同じように育てたいという要請と、子供の社会的養護という観点から生れた制度です。

血縁関係のない子供を、夫婦の実の子供同様に育てるということですから、親子関係を成立させるための条件は、とても厳しくなっています

特別養子縁組を希望する人の多くは、子供が欲しくてもできなかった人や、思いがけない妊娠や諸事情で子供を育てられない人たちです。世の中には、さまざまな理由で産みの親が、自分の赤ちゃんを育てられないことがあるのです。

そのため、この特別養子縁組は、予期せぬ妊娠、経済的な困窮で赤ちゃんや子供を育てられない、子供に愛情を注ぐことが出来ず虐待してしまう人たちなどを救う制度でもあると言えるでしょう。

特別養子縁組のできる団体

特別養子縁組のできる団体
・日本財団 ハッピーゆりかごプロジェクト
・一般社団法人 ベビーライフ

特別養子縁組は、個人でできるものではありません。一般的には、NPOや病院など民間の事業者を通じて行われます。この特別養子縁組を斡旋する民間業者は、都道府県の「許可」を受けなければいけません。

「営利目的で、養子縁組を斡旋事業を行うものではない」という一定の条件をクリアした業者のみが、児童相談所と連携しながら、特別養子縁組の斡旋や相談支援を実地することが出来るのです。

また、特別養子縁組を行う場合、民間団体に依頼する方法と、公的機関である児童相談所に依頼する方法があります。

現在、日本には29の、特別養子縁組を斡旋する民間団体があります。
特別養子縁組を斡旋している、メインのところは始めにご紹介した2つの団体になります。

特別養子縁組の流れ

この特別養子縁組の流れは、子供が欲しくて養親を希望する人たちだけでは成り立ちません。産みの親である、実のお母さんと養親を希望する夫婦の双方への対応が必要になります。

まず、産みの親であるお母さんが特別養子縁組を希望するときは、望まない妊娠や事情があって子供を育てられないなど理由はさまざまです。
面談聴取・緊急保護が必要な場合もあります。時には、施療や出産入院が必要な場合もあります。まずは赤ちゃんが健康で産まれてくることを優先にことを進めるのです。

妊娠中に、出産後の自立、養子縁組、自力養育などのカウンセリングを行ったのち、特別養子縁組の斡旋仲介が開始します。ほとんどの場合、出産後に養親に引き渡されることが多いです。

また赤ちゃんを育て、父母になりたいと希望する夫婦に対しては、さまざまな厳しい条件をクリアしているか審査されます。審査をクリアしたのち、斡旋団体が行う講座を受け、生まれてきた赤ちゃんを、どう養育するのかトレーニングを受けます。

特別養子縁組にかかる費用

特別養子縁組にかかる費用は、基本、育ての父母が負担することになっています。しかし、この費用というのは、「寄付」という形ですすめられていきます。なぜなら、この特別養子縁組を斡旋する民間団体は、法律上、営利目的で行ってはいけないからです。

具体的な費用は、団体などによって異なりますが、数十万円のところもあれば100~200万円ということころもあります。

赤ちゃんがどうしても欲しくて、特別養子縁組をすることを決めた人達にとって、この金額は高額なのか否かはというのは、夫婦で考えて決めることです。
また「寄付」という名のもとの費用というのは、赤ちゃんを産む妊婦さんのサポートから、養親の研修などに使用されます。

特別養子縁組の条件

特別養子縁組を成立させるためには、家庭裁判所に認定されなければいけません。
原則、下記の4つになります。

実親の同意

養子となる、子供や赤ちゃんの実の父母の(産みの親)の同意がなければいけません。
もし、実父母がその意志を表示できない場合は、実父母による、虐待や育児放棄など、子供(赤ちゃん)の利益を害するときは、実父母の同意が不要になることもあります。

養親の年齢

養親になる年齢は、必ず25歳以上でなければいけません。また、養親となる場合は、夫婦でなければならず、夫婦共同で縁組をすることになります。

養子の年齢

養子になる子供、赤ちゃんの年齢は養親となる人たちが、家庭裁判所に審判を要求する際、6歳未満でなければいけません。しかし、養子になる子供が6歳に達する前から、養親となる人たちから監護されていた場合は、子供が8歳になる前までは家庭裁判所に審判を請求することができます。

半年間の監護

縁組を成立させるために、養親となる夫婦が養子にする子供、赤ちゃんを半年以上監護する必要があります。実際に一緒に暮らし、その監護状況を考慮して、家庭裁判所が特別養子縁組を認めるか決定します。

特別養子縁組を受けた人の体験談

特別養子縁組を行うと決断する理由は、さまざまです。
中でも、一番多いのは、不妊治療を数年行ったが、子供に恵まれなかった。という人が多いようです。

そこで、少しだけ、特別養子縁組をした夫婦の体験談をご紹介しましょう。

子供を授かるために、色々な努力をし、辛い治療にも耐えたけれど、子供を授かることはできなかった。しかし、やはり「お母さんになりたい」と強く願った結果、夫と相談し、養子をとることに。

親になれるのであれば、里親でも良いと思いましたが、主人から、「戸籍上、家族になることができる特別養子縁組がいい」という提案から、養子縁組することを決意しました。

養子を迎えるにあたり、実母にお手紙を書きました。養子を迎えた後、どういう風に育てたいのかを、どんな親になりたいのか、作文風に書いて、団体を通じてお渡ししました。

生後5日目の赤ちゃんを、自分の腕に初めて抱いたとき、まるで自分が産んだかのように錯覚してしまうほど、愛おしかったです。

育児は、思った以上に大変だったけれど、辛いと思ったことは一度もありません。この赤ちゃんが、私たち夫婦を父母にしてくれたと、感謝しています。

特別養子縁組の問題

特別養子縁組には、戸籍上、親子関係が成立するといった素晴らしい制度ですが、この縁組は、原則として生涯続くという前提のもとで成り立っています。

また、特別養子縁組をした夫婦は原則、離婚できないことになっています。しかし、夫婦は、もとは他人同士ですから、縁組を成立した時は強力しあって親になったとしても、数年たったのち、夫婦の関係がさまざまな事情で破綻することは、絶対にないとは言い切れません。

離婚は、養子である子供にとって、とても辛いことです。子供の権利を守るために、離婚しそうである夫婦には、家庭裁判所養親として認定することはありません。

世界を見れば、養子縁組は、とてもポピュラーなものです。これを国のカラーと言えば、そうなのでしょうが、残念なことに、今日の日本では、まだ特別養子縁組の制度が偏見の目で見られてしまっているため、養子となった人がコンプレックスを抱いたりすることがあります。

また実の親子ではないため、何か事情があったりすると、幾年にも形成してきた親子関係が突然なくなってしまう恐れもあります。

普通養子縁組との違い

日本には、もともと普通養子縁組の制度しかありませんでした。では、この特別養子縁組と普通養子縁組はどのように違うのでしょうか。

特別養子縁組と普通養子縁組は、民法で定められています。民法で定められているそれぞれの縁組の違いは、大きくありますが、一番大きな違いは、産みの親との関係が原則継続することです。

養子縁組と里親制度

他人の子供を、自分の子供として育てる制度としては、養子縁組と里親制度があります。民法で定められている里親制度は、さまざまな事情があって、実の親が子供を育てられないとき、育てられない親に変わって、一時的に家庭内で子供を預かって養育する制度です。これを「里親委託」と言います。

一時的に育てるため、里親と子供の間には、法的な親子関係はありません。そのため、相続関係や扶養義務が生じることは、原則ありません。
つまり、里親制度というのは、家庭での養育が困難、または受けられなくなった子供たちに、温かく愛情に包まれた環境下で養育を提供できる制度であります。一時的な里親委託となるため、親子関係ではないのです。

その点、養子縁組は法律上、親子関係を成立させることができるため、養親がなくなった場合は、相続権がえられます。または扶養を請求することができるのです。
戸籍上、家族として成立しているため、血縁関係がなくても、普通の親子と変わりはありません。

社会的養護

さまざまな事情で、実の親が子供を育てられないとき、その子供はどうしたらよいのでしょうか。どの子供も守られて健康的に育てられる権利があります。そのため、実親以外の人たちが、公的な責任で子供を守り育てていく制度を「社会的養護」といいます。

この社会的養護には、児童養護施設や乳児院などで育てられる「施設養護」と里親で育てられる「里親養護」の2種類あります。

社会的養護で育てられる子供たちが暮らす場所を一般的に「施設」と言われます。

児童養護施設は主に、1歳以上から18未満の保護者のない児童を、入所させて養護していきます。乳児院は、1歳未満の乳児を入院させて養育する施設です。乳児院を退院する場合は、親元に返すか、児童養護施設に移るか、里親に委託されます。

まとめ

いかがでしたか。特別養子縁組は、子供の福祉のためにあるものです。親になりたかったが、事情によってなれなかった人たちへの制度ではありません。

一度縁組を成立させたのであれば、血縁関係がなくても、実の親のように愛情を与え育てていかなければいけません。

特別養子縁組を受ける予定がある人は、まずご夫婦で、どういう親になりたいのか、養子をどのように育てていきたいか、しっかりと相談しましょう。

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。