代理出産をしたら、子供の戸籍はどうなる?

最近テレビでも「代理出産」という言葉を聞く機会が多くなり、認知度が高くなってきました。しかし代理出産において気になるのは、子供の戸籍や国籍はどうなるのかということです。そこで今回は代理出産をしたら、子供の戸籍はどうなるのかをご紹介していきます。

海外での代理出産、親子関係のある子供の国籍は?

代理出産の戸籍

代理出産は日本で法律で禁止はされていないものの、認められてはいません。ほとんどの夫婦は日本での不妊治療ののち、子宮に問題がある場合におこなわれます。タイやアメリカ、インドなどの海外でエージェントを通して費用を払い、卵子を第三者に提供して夫の精子で代理出産を試みます。

しかし海外で代理出産をおこなった時には子供の国籍を日本、そして夫婦の子として親子関係を認めてもらえないのです。日本において生まれたときに国籍取得をするには父親が、自分たちに親子関係があるという胎児認をしなければなりません。

胎児認知は妻と自分の間にできた実子だという親子関係を、夫が認めることを指します。ただ胎児認知をした場合には、妊娠出産をした女性が母親という扱いになってしまいます。これは日本での法律で「母親」とは、妊娠出産をした自分の子宮で育てた女性であるのが大前提のためです。

昔は卵子や精子を使った不妊治療などの生殖医療がなかったため、代理出産ということ自体が想定外だったのですね。そのためタイやアメリカ、インドなどの海外で卵子提供をおこなって代理出産で子供を授かった場合には、法律では自分たちの実子として戸籍に入れることができないのです。また国籍も実際に出生したタイやアメリカ、インドなどの海外の国になります。

卵子提供で生まれた子供の遺伝子は誰のDNA?

2017.01.03

日本で夫婦の子供にするための特別養子縁組

特別養子縁組

日本で不妊治療をしていても海外で代理出産をした場合には、自身の子宮で育てておらず妊娠出産をしていないため戸籍上実の子だと認められません。しかし日本で夫婦の子供として親子関係を持ち、戸籍も入れるとなると養子縁組を考えなければならないのです。

特別養子縁組をすれば実の子供として戸籍に入れることができますが、その後に外国国籍から日本国籍に移すための帰化をします。特別養子縁組は6歳未満の子供であれば申請することができ、また半年間監護期間として一緒に暮らすことが条件となります。

特別養子縁組が成立すれば親子関係が認められ、晴れて夫婦の実子になるのです。そこから国籍取得のために、帰化の手続きを進める必要があります。女性が実際に産んでいなくても、卵子提供をして夫の精子と受精したDNA上での実子であることは事実です。

しかし代理出産は戸籍や国籍取得、そして特別養子縁組などの手続きを済ませる必要があるため日本産婦人科学会も許可をしていないのです。

代理出産の問題点とは?

2017.08.29

代理出産の扱い、法律や日本産婦人科学会での立ち位置

日本の位置付け

日本産婦人科学会では代理出産について意見が二分しており辛い不妊治療に光が射すものだという考え、そして法律で禁止されていなくとも倫理的に適さないという考えがあります。また依頼者が海外で代理出産をするには莫大な費用がかかり、さらにリスクも伴うのです。

またエージェントを通した場合も、非常に多くの費用を支払う必要があります。代理出産をする女性が無事に出産を終えられるのか、また赤ちゃんは健康なのかなど気がかりなリスクがたくさんあるのです。

日本産婦人科学会は1983年より代理出産の自主規制を促していますが、法律はまだ追いつかない状態です。そのため法律の穴をすり抜けて2001年に代理出産をおこなった医師もいて、これは依頼者が後を絶たないことも物語っています。
そこで2003年に厚生労働省が妊娠出産のリスクを甘くみてはいけないと、全面的に認めないと結論づけました。
海外での代理出産も日本の法律では禁止されていないものの、戸籍や国籍の問題もあるため認められてはいません。

しかし依頼者やエージェントがいる限り、海外での代理出産ビジネスなどもなくならないのです。
日本でも法律が整い、代理出産が不妊治療と連携して安全におこなわれるのを期待するのみです。

代理出産とは?

2017.08.16

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。

1 個のコメント

  • DNA上では実の親子関係でも日本の法律では特別養子縁組として申請手続きしなければならないというのは、厄介だと思いました。
    また、DNA上で実の親子であれば当然容姿も両親に似てくるでしょう。似ていても国籍が違っていたり、戸籍で養子扱いになっている事実を物心がつき、やがて成長した子供が見た時に、ショックを受ける可能性もあります。感情論などに近づいてしまいますが、子どものことを考えても戸籍で実の親子関係と認めて貰えないのは考え物だとおもいました。
    ただ、代理出産をする人の健康や生命問題を考えた際も、やはり倫理という観点では考えるべき余地があると思います。なかなか解決しない問題ですが、これからの時代はこうした問題も頻発するため、法の整備が求められると思います。

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