妊娠後期の食事

妊娠後期とは妊娠8か月(28W0D)から妊娠10か月(39W6D)にあたります。いよいよ出産が近づき新しい家族の誕生に毎日ドキドキワクワクしている妊婦さんも多いのではないでしょうか。

妊娠後期ではお腹の赤ちゃんも活発になり食欲が増進するママもいます。また反対に、更に大きくなったお腹で胃が圧迫されて食欲が減退したり、終わったはずのつわりが再開するママもいます。

妊娠後期の体調にはそれぞれ個人差はありますが、マタニティライフもあと少し。そこで、これから迎える臨月を乗り越え、出産に備えるママの身体とお腹の赤ちゃんの発育に必要な栄養素や食事のポイントと注意点などを紹介していきます。

妊娠後期は食事に気をつけよう

妊娠後期の食事

栄養状態が良くなかった昔は、「赤ちゃんの分まで食べなさい」とよく言われたものです。しかし現在はむしろ体重が増えすぎないように体重管理をしなければなりません。

だからといって体重増加を気にし過ぎて、赤ちゃんに必要な栄養を取らないと胎児の発育やこれから出産を迎えるママの身体にもよくありません。大事なポイントは「バランスの良い食事をとること」です。

妊娠後期栄養バランスは?

栄養バランス

お腹の赤ちゃんの成長と発育はママがとる栄養に頼っています。
バランスの良い食事とは、以下の食べ物を毎食揃えましょう。

・主食(ご飯・パン・麺類などの炭水化物)
・副菜(ビタミンやミネラル源となる野菜)
・主菜(魚・肉・卵・大豆などのタンパク質)

特に副菜はたっぷりとりましょう。1日120g以上は緑黄色野菜をとることが推奨されています。

妊娠後期に必要なカロリーは?

カロリ

次に妊娠後期に必要な摂取カロリーについてです。非妊娠時の18歳~49歳女性の摂取カロリーの目安は2,000kcal~2,200kcal/日です。妊娠後期にはこれにプラス450kcalが理想です。

・妊娠後期 摂取カロリー目安 2,450kcal~2650kcal/日

だからといってお菓子やジュースなどでカロリー摂取を増やすのではなく主食・副菜・主菜を1品ずつプラスしたり、乳製品や果物を摂取することを意識しましょう。

また、妊娠中の女性の身体は脂質を蓄えるように働くために体重が増えやすくなります。妊娠後期に急激に成長する胎児にエネルギーを送るためにあらかじめ脂質を蓄えています。脂身の多い肉を控え青魚にかえたり、調理もサラダ油よりもオリーブ油や菜種油にするなどの工夫をして体重管理をしましょう。

妊娠後期に必要な栄養素は?

栄養素

妊娠中から栄養バランスを考えて必要な栄養素をとることは胎児の成長や発育だけでなく、出産後育児に奮闘するお母さんの体力作りにもかかわってきます。

また出産後は母乳育児を予定しているお母さんにとっても、今のうちから食生活に気を付けることで質の良い母乳を作ることにもつながります。

妊娠時に特に必要な栄養素はタンパク質、葉酸、カルシウム、鉄、食物繊維です。これらを含む食材と1日の摂取推奨量を紹介していきます。

タンパク質…推奨量60g/日

赤ゃんの身体を形成している重要な栄養素です。(卵、豚ロース、鶏もも肉、さわら、鮭、木綿豆腐、納豆など)

葉酸…推奨量480㎍/日

主に赤ちゃんの赤血球や細胞の新生に必要です。葉酸はビタミンB12と一緒にとると吸収しやすくなります。産後の子宮回復や母乳にも良いとされています。(ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなど)

カルシウム…推奨量650㎎/日

赤ちゃんの骨や歯を形成するだけでなく、筋肉や心臓の発達の促進をします。特に授乳中は母乳を通して赤ちゃんに吸収され不足しがちになるので日頃から意識して摂取しましょう。(牛乳、ヨーグルト、木綿豆腐など)

鉄…推奨量18.0㎎/日

鉄の大部分は血液中にあり、酸素を体全体に送る働きがあります。子宮や胎盤にも血液が流れるため不足しがちになります。(レバー、煮干し、サンマ、あさり、小松菜など)

食物繊維…推奨量17g/日

妊娠中はホルモンの影響で腸の動きが弱まったり、子宮が大きくなり腸が圧迫されることが原因で便秘になりがちです。食物繊維は腸を刺激し排便をスムーズにする動きがあります。(玄米、おから、ごぼう、わかめなど)

妊婦さんには玄米がおすすめ。その理由は?

玄米

主食のご飯を白米から玄米にかえることもおすすめです。玄米は白米に比べビタミンB1やビタミンE、鉄や亜鉛、食物繊維などの栄養素がとても高い食品です。

ビタミンB1には炭水化物をエネルギーに変える働きがあるため、疲れやすい妊婦さんの免疫力を高めて疲労回復の手助けにもなります。さらに玄米の食物繊維は白米の6倍あると言われており、妊娠後期に多い便秘の解消にも効果的です。

食物繊維は便秘を解消するだけだなく、生活習慣病や肥満にも効果があると言われているので体重管理で炭水化物などの糖質を気にしていお母さんの強い味方ですね。

さらに女性には嬉しい肌荒れ予防やアンチエイジング効果の期待もされています。
良いことずくめの玄米ですが注意があります。玄米は消化しにくいという特徴があるため、胃腸が弱い方や、つわりなどで胃腸の調子が悪い方は控えてください。

妊娠後期のおすすめレシピ

レシピ

妊娠後期のおすすめレシピをご紹介します。上記で紹介した栄養素がバランスよくはいっているレシピになりますので、ぜひご活用ください。

【レバーの生姜炒め】

(材料)2人分
レバー…200g
小松菜…1袋
玉ねぎ…1/2個
◎白だし…大さじ1.5
◎生姜チューブ…3㎝
◎味噌…小さじ2
塩こしょう…少々
ごま油…小さじ2

(作り方)
①材料の◎を混ぜておく。
②レバーはひと口サイズ、小松菜は5㎝幅にカット、玉ねぎは串切りにする。
③フライパンにごま油を熱し、レバー→玉ねぎ→小松菜の順に炒め塩こしょうをふる。
④混ぜておいた◎を回しいれ火が通れば完成。

鉄分を多く含む代表といえばレバーです。小松菜は鉄の吸収を促進するビタミンCを含み、玉ねぎは血流を良くする効果があります。貧血予防だけでなく、生姜で炒めることによって身体を温めてくれますので冷え防止の効果もあります。

【ヘルシー玄米ビビンバ】

(材料)2人分
玄米ご飯…お茶碗2杯
《肉そぼろ》
木綿豆腐…1/2丁(150g)
合いびき肉…80g
◎しょうゆ…大さじ1/2
◎塩こしょう…少々
◎砂糖…小さじ1/2
◎コチュジャン…小さじ½
《ナムル》
ほうれん草…2/1束
にんじん…3/1本
△鶏がらスープ粉末…小さじ2/1
△醤油…大さじ2/1
△塩…少々
△ごま油…大さじ1
△すりごま…大さじ1

(作り方)
①豆腐はキッチンペーパーで包みレンジで2分かけて水切りをする。
②フライパンに油を熱し、合いびき肉と豆腐を崩しながら入れ、◎の調味料を入れる。
③中火で炒めて色が変わり、水分が飛んだら肉そぼろの完成。別の皿に取り出しておく。
④ほうれん草は3㎝、人参は千切0りにして茹でる。
⑤茹で上がったらざるに取り、粗熱が取れたらしっかりと水気を取る。
⑥△の調味料をすべて混ぜ合わせ、⑤を投入して混ぜ合わせてナムルの完成。
⑦玄米ご飯に肉そぼろとナムルを乗せればヘルシービビンバの完成。

食欲旺盛なお母さんにはおすすめのヘルシービビンバです。たんぱく質が多く含む合いびき肉ですが、あまり食べ過ぎてしまうと体重増加も気になりますよね。

ポイントは木綿豆腐です。たんぱく質、カルシウムを含む木綿豆腐を合いびき肉と炒めることで、食感が出て肉そぼろに変身します。ナムルはほうれん草とにんじんだけでなくもやしを追加しても良いですね。栄養価も高く、かつヘルシーで満足感のある一品です。

妊娠後期に食べてはいけない食べ物は?

Ng food

妊娠中は免疫力が低下して食中毒などにかかりやすくなっています。また、ママに症状が無くても母体を通して胎児に食品中の病原体の影響が起きることがあります。

あまり神経質になるのもよくありませんが、お腹の赤ちゃんに万が一のことがあれば後悔してもしきれません。次の食材には特に注意しましょう。

トキソプラズマの恐れがある食材(生肉・ユッケ)

トキソプラズマは生肉などの食品からだけでなく猫のふんにも含まれている可能性があります。妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通して胎児にうつり脳や目に障害を負うリスクがあります。

トキソプラズマもリステリア菌は十分に加熱することで感染を予防できます。日頃から食品の取り扱いに注意することを意識しましょう。

リステリア菌のある食材(ナチュラルチーズ・生ハム・スモークサーモン)

リステリア菌は特に妊娠後期の妊婦さんにかかりやすいといわれています。食中毒の一種ですが免疫力が低下しているため流産や早産につながる恐れもあります。

マグロやキンメダイなど水銀を含む食材

マグロやキンメダイは栄養素も高く許容量(80g/週)を超えなければ食べても大丈夫です。

生卵や生肉などサルモネラ菌の恐れがる食材

生卵などサルモネラ菌で食中毒を起こすと切迫早産につながる可能性もあるので、やはり加熱してから食べるようにしましょう。

妊娠後期のマイナートラブルに注意!

注意

妊婦生活も終盤にさしかかり、お腹の中に赤ちゃんがいる生活にも慣れて気持ちの余裕が出てきたお母さんも多いのではないでしょうか。

しかし、油断は禁物です。今までは特にトラブルがなかった妊婦さんでも、後期に入ってトラブルが起こることもあります。日々の食事で予防することもできますので紹介したいと思います。

妊娠後期は貧血を予防しよう

予防

妊娠後期になると赤ちゃんも大きくなり、ママの血液量が増えることが原因で普段貧血でない人でも貧血になることがあります。

貧血状態が続くと母体だけでなく、赤ちゃんの発育にも影響が出る場合もありますので食事の面から予防を心がけましょう。

《赤血球をつくるもとになる栄養素》

・タンパク質(魚・肉・卵・大豆製品)
・鉄

日頃から不足しがちな鉄は積極的に食べましょう。鉄を多く含む食材は牛もも肉・あさり・小松菜・ほうれん草などがあげられます。ポイントは、鉄の吸収を促進させる栄養素ビタミンCを多く含む食材と一緒に摂取することでより効果的です。

小松菜・キャベツ・ピーマン・大根などはビタミンCが多く含まれています。逆にコーヒー・紅茶・緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げることがあるため、食事中や食後すぐに飲むことは控えましょう。

妊娠高血圧症候群とは?

病気

大部分が8か月(28W)頃から起こる病気です。妊婦中毒症とも言います。原因ははっきりとされていませんが、高齢出産や肥満、はじめての妊娠の方に多い傾向だそうです。

早期発見、早期治療をすれば大事には至りませんが、重症になると死産や早産など胎児へ影響だけでなく、胎盤早期剥離などの母体への危険も引き起こします。

妊婦高血圧症候群の予防には望ましい体重増加やバランスのとれたメニューをこころがけ、特に塩分の取り過ぎに注意が必要です。

《塩分を減らす工夫》

・調理するときは出汁をしっかりとり味付けはうす味に
・塩の代わり酢・レモン・香味野菜を使う
・醤油やソースは「かける」より「つける」
・麺類の汁は残す

日々の少し作り方を工夫するだけで塩分を減らすことができます。妊娠をきっかけに家族の健康や赤ちゃんの離乳食作りに今のうちからうす味に慣れておくと良いですね。

食欲がない!つわりが復活して食べられない!そんな時は?

食欲がないつわい

お腹の赤ちゃんとママのために栄養バランスのとれた食事が大事なことが分かっても、妊娠後期や臨月につわりが再開したり、胃が圧迫されて食欲がわかないママもいるでしょう。

しかし、お腹の赤ちゃんの発育や出産に向けてママの体力もつけなければならない時期ですので食べないわけにはいきません。そこで食欲が無いママにお勧めの食事方法を紹介します。

食事回数を増やす

無理に通常の量を食べることによって、胃の許容を超えてしまい不快感や吐き戻しに繋がることもあります。無理をせず一日の食事を小分けにして、少量を回数に分けて食べてみましょう。

消化が良いものを食べよう

油ものや味が濃いものを食べると消化も悪く胃に負担がかかり逆効果です。食欲がない時は、短時間で消化ができるお粥やうどんなどの胃に優しいものを食べることで胃の不快感を少なくすることができます。

特におすすめは野菜スープです。消化が良いうえに、野菜も摂取できます。スムージーにしても良いですね。それでも悪阻などで食べ物が受け付けられないというママは水分補給を意識してください。

妊娠中はより多くの水分をとる必要があります。水分不足で血液循環が悪くなったり、便秘になったり、羊水不足の原因になることもあります。

ハーブティーなどリラックス効果がある飲み物でまずは水分補給をしてみてください。もし水分すらも受け付けない場合は早めにかかりつけのお医者さんに相談するようにしてくださいね。

妊娠後期の食事のまとめ

まとめ

長いようで短い妊婦生活もあと少し、赤ちゃんに会えるのももうすぐです。期待と同時に、身体の負担も大きくなり、身体的・精神的にも不安定になる時期でもあります。

これまで妊娠後期と食事の関係についてご紹介しましたが、何よりもママが穏やかな気持ちでリラックスして過ごすことが大切です。

赤ちゃんのためにこれを食べなければと神経質にならず、パートナーや家族と楽しみながら食事のメニューを工夫して、妊娠後期・臨月とお過ごしください。残り少ないマタニティライフを積極的に楽しんでくださいね。

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。

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