卵子凍結保存とは?

卵子凍結とは、不妊治療を行う施設などで体外受精の際に一般的に行われている受精卵の凍結とは異なり、卵子のみを凍結する方法の事です。以前は不妊治療中の既婚女性や病気を抱える女性が将来私は子どもを産めるのか。という不安から医学的な部分での適応の方がほとんどでした。

しかし、最近では女性の社会進出、仕事中心でキャリアアップ志向が増えていく中、晩婚化に伴い出産年齢の晩産化も進み、既婚女性だけでなく未婚女性が将来に備えて「卵子凍結保存」を選択する女性達も増えつつあります。

今回、卵子凍結保存の具体的な流れやそれに掛かる費用、妊娠率などの可能性を日本生殖医学会から出されているガイドラインに沿ってご説明させて頂き、そして東京都内で行っている施設をいくつか紹介していきたいと思います。

卵子の凍結保存とは?

卵子凍結保存とは、女性の卵巣から採取した卵子を凍らせて保存しておく事です。そのため若い卵子を保存しておく事が可能となります。日本生殖医学会から発表されているガイドラインによると、卵子凍結を行う場合は大きく2つに分けられます。

医学的適応

甲状腺、免疫系の疾患、がんを患い抗がん剤・放射線治療などにより、将来生殖機能が損なわれる可能性の場合。

社会的適応    

病気を抱えているのではなく、不妊治療中の女性、または健康な女性が仕事を優先にしたいなどの事情で晩婚・晩産による卵子の老化を懸念し若いうちに卵子を残したい、将来の妊娠・出産のために残しておくことを目的とする場合。

※ただし、卵子凍結によって妊娠・出産の時期を遅らせることを推奨するものではなく自分自身で産むタイミングを考える事ができるになります。

卵子凍結保存の流れと方法について

卵子凍結保存の流れについて大きく8つのステップで解説させていただきます。クリニックや、病院によって対応方法は多少誤差がありますのでご留意ください。

①診察、問診

 初めに、充分なカウンセリングとインフォームドコンセントを行います。血液検査・内診検査・超音波検査などを行います。施設により異なる場合もありますが、40歳以上の方や極度に肥満な方は卵子凍結ができない場合があります。

 

②排卵誘発

 一般的に、1回の採卵で複数の卵子を得ることができるように、注射や内服の排卵誘発剤を使用します。生理が開始しましたら、ホルモン剤の内服や注射(平均3回程)により卵巣を刺激し複数  個の卵胞を発育、成熟し成熟卵にしていきます。

 副作用としては、重篤なものに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼ばれるものがあります。過剰な刺激で卵巣が腫れ、重症化すると腹水や胸水が溜まって手術が必要なケースや、血栓症のリスクがあります。

 

③採卵

 卵胞内で発育成熟した卵は、超音波ガイド下に卵巣を確認しながら金属の張りを用い、経腟もしくは経腹的に卵巣の卵胞を穿刺し、卵胞液とともに卵子を吸引回収します。しかし、卵胞がたくさんできていても中に卵子がない場合や、採れても状態が悪く凍結できない場合もあるため、手術前の卵胞の数だけ卵子が得られるわけではありません。採卵のリスクとしては、穿刺するため腹腔内出血、感染のリスクなどの可能性があります。

→穿刺時痛みを伴うため、施設によっては麻酔を使用することもあります。

 

④凍結保存

 回収された卵子は、ガラス化凍結手法であるcryotop法で凍結し、液体窒素中に保管します。超低温の-196℃の液体窒素で瞬時に凍結保存をしていきます。-196℃という温度ではほとんどの化学変化が起こらないため、何十年も全く状態を変化させないままで保存することが出来ます。

 

⑤凍結期間

 妊娠をご希望される時まで、お預かりいたします。

この凍結保存の方法では、長期間卵子の保管することが可能となります。保存時間が長くなるほど融解して生まれる出生児に異常が多くなることはありません。

 

⑥凍結卵子の融解・採精

 妊娠を望む時期に卵子を解凍し、顕微授精の予定日に冷凍卵子を液体窒素から37℃の融解液に移し、急速に融解します。元気な精子を顕微授精させるためには、治療予定時間の2時間以内に採精しなくてはいけません。しかし、一旦凍結して融解するという、物理的に大きな変化を受精卵に起こすため、一定の確率(5-10%程度)で受精卵が凍結融解後に変性してしまうことがあります。

 

⑦顕微授精・胚移植

 凍結保管後、融解された卵子は顕微受精で受精させて、分割期または胚盤胞期まで体外で培養し、子宮に移植します。しかし、移植可能な段階まで成長できるかわかりません。

 凍結していない新鮮な精子と卵子を用いた場合でも受精しない、あるいは、途中で分割が止まり、移植できない場合があります。清潔操作で行うため稀ですが、感染のリスクの可能性もあります。

⑧妊娠

 移植からおよそ2週間後に子宮内での着床が確認できたか、妊娠の判定をします。

卵子凍結保存のリスクやデメリットは?

2018.05.26

卵子凍結保存の費用について 

子の凍結保存は、自由診療で保険がききません。そのため、様々な検査や卵子保管料など維持費がかかり高額となってしまいます。

 初診から採卵、凍結保管までだと一般的には50~80万ほどかかることがあるようですが、不妊治療をしている病院により費用は変わる事や、採卵が成功し卵子をいくつ保管するのかなどにもより変動することもあります。

 また、費用とは別に1年ごとの更新料も発生する場合もあります。卵子1個あたり1~2万ほどにはなりますが、卵子の質や状態にもより妊娠を望む場合には10個以上の卵子が必要となることあり多額の費用がかかってしまうことになります。

※以下、東京都内の施設での卵子凍結保存を行う場合の金額を参照させて頂きます。

 

京野アートクリニック高輪 の場合

 

通常の

卵巣刺激

  低刺激法 自然周期 初回凍結料金

 (3個まで)

初回凍結

追加料金(1個)

医学的

適応の

卵子採取

¥170,000 ¥120,000  ¥90,000   

  ¥50,000

  ¥10,000
社会的

適応の

卵子採取

¥220,000 ¥170,000  ¥140,000    ¥100,000  ¥20,000

 

  料 金
 スクリーニング検査(1年間有効)  ¥23,000
 卵子の凍結保存 更新料(1年)  ¥50,000

*上記に消費税は含まれてません。薬剤、ホルモン検査、超音波検査、病理組織検査などにか かる費用は上記の金額には含まれていません。

 

杉山産婦人科(新宿・丸の内)の場合

 

採卵          20万円

(卵子がすべて空胞で卵子が1個も得られない場合は50000円)

静脈麻酔  5万円(麻酔希望者のみ)
卵子凍結  5万円/本(容器1本で最大2個の卵子が同時保管可能)
感染症検査  13000円(型、AMH)
排卵誘発  約30000~50000円
凍結延長(2年目以降)  5万円/年(容器1本あたり)

*上記に消費税は含まれてません。薬剤、ホルモン検査、超音波検査、病理組織検査など にかかる費用は上記の金額には含まれていません。

卵子凍結にかかる費用(値段)とは?

2018.05.22

卵子凍結保存の妊娠率について

 未授精卵子解凍後の卵子生存の確率に付いては多くの実験の事例がないため、正確なことは判っていないのが現状です。しかしながら、研究データの報告によりますと生存率は40~70%程度となっております。そして卵子解凍後に卵子が生存し受精(顕微授精) し、受精卵が良好な場合の1個あたりの妊娠率を以下に示します。

 

30歳以下・・・35%程度、

31~34歳・・・30%程度、

35~37歳・・・25%程度        

38~39歳・・・20%程度、

40歳以上・・・15%以下

 凍結保存していた卵子は、妊娠を希望するタイミングで解凍し体外受精や顕微授精を行うことになります。米国生殖医学会では、凍結保存卵子と新鮮卵子を比較したときにその受精率や出産率には差がないという見解を示しています。 そのため、若いうちに卵子凍結保存をしても、妊娠率が上がるとは限りません。しかし、精子とは異なり、卵子は生まれる前から数が備わっていて、年齢と共に減少していきます。

 また、卵子は35歳を超えると年齢と共に老化し卵子の質そのものが低下します。35歳を超える出産を高齢出産といい、出産年齢が40歳を超えると染色体異常などにより妊娠率が減少し流産率が高くなってしまうのも現状としてあります。そのため、日本生殖医学会は「35歳までには妊娠・分娩を行うことが望ましい」としています。

 

卵子凍結保存いつ(何歳)までできるのか

 卵子凍結の妊娠率

卵子の凍結について、日本では法的な定めはありません。日本生殖医学会のガイドラインでは、「卵子の採取は40歳未満まで、凍結保存した卵子を体外受精などを使うのは45歳未満まで」としております。

しかし、凍結保存が可能な年齢や期限の上限は各病院などにより異なる場合があります。一般的には、35歳を超えると高齢出産となり卵子の質も低下してしまうことで妊娠確率が少ないこと、40歳以上での妊娠では母体側の妊娠高血圧症候群の発症率が急激に上昇する恐れがあります。

また、妊娠途中で胎児が亡くなる可能性や、生まれた直後に赤ちゃんが亡くなる可能性も高くなることが知られています。全員が危惧することではないですが、リスクを伴う可能性があります。そのため、一般的には卵子の採取は40歳未満、卵子の体外受精など行うのは閉経までと   決めている施設も多いようです。

 

東京で卵子の凍結保存ができる病院について

東京で卵子凍結保存

東京都内でも、卵子凍結保存ができる病衣は少なく、日本産婦人科学会へ届け出ている施設は7件でした。以下ご紹介をさせて頂きます。

1、杉山産婦人科(新宿・内)                                              

採卵は満40歳の誕生日まで。使用は満45歳の誕生日まで。最低でも5個、できれば10個以上の未受精卵の凍結保存を推奨しています。費用はHP参照下さい

 

2、京野アートクリニック(高輪・品川) 

年齢制限についてはHPに記載はありません。

「卵子1つあたりの妊娠率は5%程度と言われており、未受精の卵子であるため、できれば15-20個の卵子を凍結しておくことが望ましいとされます」とHPに記載がありますので参照下さい。

 

3、赤坂レディースクリニック                                           

原則39歳以下の方が採卵の対象で、移植は満50歳の誕生日まで。

「卵子の生存率およびその後の着床率を考慮すると1人出産するのに必要な卵子の数は、36歳以下の方であれば10~25個、37歳以上の方は30個以上です。40歳以上は50個以上、45歳以上は250個以上が必要。」と厳しい記載があります。HP参照下さい。

 

4、オーク銀座レディースクリック

年齢制限などはHPに記載がありません。費用などはHP記載ありますが、詳細は直接連絡し確認をお願い致します。

 

5、六本木レディースクリニック                                          

2018年4月から新たに卵子凍結を開始。年齢制限はHPには記載されておりません。費用の記載はHPにありますが、詳細は直接連絡し確認をお願い致します。

 

6、リプロダクションクリニック東京

HPには詳細情報が記載されていませんが、診療内容に「卵子凍結」と記載がありこちらでも凍結できる可能性があります。直接連絡し確認をお願い致します。

 

7.ウィメンズ・クリニック大泉学園

HPには詳細情報が記載されていませんが、診療内容に「卵子凍結」と記載がありこちらでも凍結できる可能性があります。直接連絡し確認をお願い致します。

東京で卵子凍結保存をしている病院は?

2018.05.30

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。