不育症とは?

不育症とは妊娠しても流産や死産を繰り替えして子供が得られないことを言います。流産が2回以上続いたら反復流産、3回以上続いたら習慣流産と言います。これらは不育症として扱われることが多いです。

今回は不育症がなぜ起きるのか、そして着床したのになぜ出産にいたらないのか判断するためにはどんな検査をしたらいいのか。治療する方法はあるのかについてご紹介させていただきます。

不育症とは?

不育症とは冒頭でお伝えしましたが、死産や流産を何度も繰り返してしまうことを言います。回数による明確な定義はないのですが、2回以上繰り返えす場合を不育症ということが多いのです。

なぜ2回以降流産すると不育症と呼ばれるのかは、流産の確率との関わり方を見ながら説明します。

不育症と流産の確率とは?

不育症と流産の確率

1回の妊娠で流産するのは15%程度です。これは誰にでもおこることで妊娠したことのある38%の女性が経験しています。つまり流産することは珍しいことはではないのです

つまり理論値では流産の確率は下記の通りになります。

  1. 1回目に流産する確率: 15%
  2. 2回目に流産する理論確率: 2.25%
  3. 3回目に流産する理論確率: 0.34%

しかしながら実際の流産率には、2回連続流産では 4.2%、 3回連続流産するのは0.88%になっています。このことから流産にはなにかしら原因があることがわかります。なので2回以上流産する場合は不育症の治療が必要になります。

不育症と不妊症

不妊症と不育症の違い

不育症と不妊症はいずれも胎児がうまれてこないという点で共通しています。不妊症は、性行為→受精→着床までに問題がある場合を不妊症。着床→妊娠維持→分娩までに問題がある場合を不育症と言います。

大きくわけると着床する前の問題か、着床してからの問題かで異なります。着床を判断できるのは hCG陽性反応がでたタイミングになるので、妊娠4週未満だと着床しているかどうか判定不能ですので不妊症として扱われます。

妊娠12週目以降では子供は死産として扱われて死児として届出が必要になります。

  1. 5週目-12週目: 早期流産
  2. 12週目-22週目: 後期流産
  3. 22週目-37週目: 早産

不育症の原因

不育症の原因としては、胎児の発生に異常をきたすものと母体に異常をきたすものとあります。胎児の発生に異常をきたすものにも2パターン。母体異常にきたすものとして3パターンあります

胎児の発生に異常をきたすもの

2つのパターンがあります。

  1. 夫婦染色体均衡転座
  2. 夫胎児染色体異常

夫婦のどちからに染色体異常があり、異常な配偶子がうまれるものを、夫婦染色体均衡転座と言います。

配偶子形成過程の減数分裂時に正常な胚発生がすすまないものを胎児染色体異常と言
います。

母体に異常をきたすもの

妊娠ができない。あるいは子宮内環境の悪化により正常な胎児発育が進まないケースとして3つあります

  1. 抗リン脂質抗体症候群
  2. 子宮奇形
  3. 内分泌異常

その他の要因としては、血栓性要素、遺伝子変異、エピゲノム異常、感染、免疫異常、精神的因子があります。

不育症の原因の割合

不育症の割合

発生要因としては下記の通りです。下記のグラフから夫婦を調べてわかる要因が3割であることが理解されます。

  1. 胎児染色体異常: 42%
  2. 夫婦染色体異常: 10%
  3. 偶発的リン脂質抗体: 7%
  4. 子宮奇形: 5%
  5. 内分泌異常: 5%
  6. 抗リン脂質抗体症候群: 2%
  7. 混合: 4%
  8. その他: 25%

しかしながら年齢が高くなればなるほど胎児染色体異常の頻度が増加し、流産回数の多い集団では胎児染色体異常の可能性は低くなる傾向になります。

不育症の検査と治療方法は?

不育症の検査

不育症の検査とそれぞれの治療方法においてみていきましょう。原因不明となっている疾患は除き、不育症の原因がわかっているものを中心にお伝えさせていただきます。

下記の検査は不育症において推奨されている検査ですが、一律で実施することではなく流産回数や年齢を考慮して患者の状況によって適切に選択することが必要です。

抗リン脂質抗体

具体的には次の3つの検査を行います。

  1. ループスアンチコアグラント
  2. 抗カルジオリピン抗体
  3. 抗CL、β2GPⅠ抗体

この検査でわかるのは、抗リン脂質抗体症候群、対応方法としては低容量アスピリンやヘパリン併用療法をします。

子宮形態検査

具体的には経膣超音波検査、子宮卵管造形検査を行います。この検査でわかるのは、子宮奇形です。基本的には治療は不要ですが、流産を繰り返す中隔子宮にかんしては子宮鏡下中隔切除術などを考慮する。

内分泌検査

具体的には甲状腺機能、耐糖能を行います。これによって内分泌異常(甲状腺昨日異常、糖尿病)がわかります。各原因疾患をコントロールして妊娠に臨む。

夫婦の染色体検査

この検査では夫婦染色体均衡型転座がわかります。遺伝カウンセリングや着床前診断を解決策として定時されるでしょう。

流産組織の検査

この検査で、胎児染色体異常を発見します。流産は偶発的なものであり、次回妊娠できる可能性が高いことを伝えます。

東京大学教育学部卒業後、国立医学部に再入学。都内クリニックにて産婦人科医として勤務。年間 200 名以上の不妊治療の相談にのっています。趣味はホットヨガと、トレイルランです。基礎体力をつけるために日々健康的な暮らしを心がけています。気軽にご質問ください。

6 件のコメント

  • 不育症について知らなかったので個人的に勉強になりました。 私の周りにも不妊症の方とかいたりはしましたが、不育症という病気は今まで聞いた事なくて知らなかったのでこういう病気もあるんだな、…妊娠について正しく勉強していく必要性を感じました。

  • 「不妊症」はよく耳にしますが、「不育症」とは聞き慣れない言葉でした。私も子供ができずあきらめましたが、せっかく妊娠しても後から不育症だと診断されてしまったら、つらさがもっと増したもしれません。もっと不育症の治療が一般的になればと思います。

  • あずまるさん

    不育症の勉強になってよかったです。今後とも不妊治療や、妊活に関する情報配信をさせていただきますので、気になるテーマがありましたらまたおっしゃってください!

  • 不妊症というのはよく聞くのですが不育症というのは聞いたことがあっても何のことかよくわからなかったので知れてよかったです。違いについてもわかりやすかったですし、原因、治療法も詳しく書かれていたのですごくよかったです。

  • 流産を繰り返すことがあるというのは知っていましたが、それが「不育症」だというのはこちらではじめて知りました。
    調べてわかる要因が3割ということは、3割は防げる可能性があるということですよね。
    検査の種類や方法が簡潔に説明されていて判りやすかったです。

  • 不育症とは?自分自身も三回以上の流産・死産を繰り返した経験があり、不育症の診断を受けたことがあります。妊娠・出産は決して当たり前に起こることではなく、本当に尊く、奇跡なんだと改めて考えさせられました。

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